272、地風升(ちふうしょう)2爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

272、地風升(ちふうしょう)2爻

◇ 升とは何か?

地風升(ちふうしょう)は、地中の木(巽=木)が、土(坤)を押し分けて伸び上がる象から、物事が着実に段階を踏んで上昇していく時を示す卦です。

升の上昇は、力で押し切る上り方ではなく、誠と信を根にし、目上や周囲の信任を得ながら、辛抱強く積み上げる上昇です。二爻は、その「幹」に当たり、下から吸い上げた力を“公”へ通し、上より任を受けて働く段階を示します。

◆ 卦全体が教えてくれること

升が示すのは、

•誠(孚)を失わず、信任によって道が開けること

•成果は派手でなくとも、後に喜びとして結実すること

•ただし多くの場合、骨折りが先に立ち、報酬は薄いこと

•利を追って走れば、かえって誤ちを招きやすいこと

という現実的な上昇の道です。二爻は、まさにその中心に立ち、労を引き受けることで升の徳を通す位置です。

◆ 2爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「孚(まこと)あれば乃(すなわ)ち禴(やく)を用(もち)うるに利(よ)ろし。咎(とが)なし。」

【象伝】

「九二(きゅうじ)の孚(まこと)は、喜(よろこ)び有(あ)るなり。」

● 解釈

この辞は、前に述べた萃の二爻と同文ですが、卦が異なるため、現れる徳の重心が変わります。萃では、六二が引かれて五爻へ聚り、自分を虚しくして正しく赴く「虚心」の孚誠が目立ちました。これに対して升の九二は、剛中をもって五爻に応じ、仕えて事を遂げようとする「実」が前面に出ます。柔中で五に従う萃の二爻と、剛中で五を支える升の二爻――その差が、同じ文を別の意味へ転じさせるのです。

「禴」は供物の豊かでない祭りですが、孚があるなら供物の多寡を問わず神は享ける、というのが辞の骨子です。これと同様に、この爻では、外形や飾り立てよりも、誠実そのものが信任を生み、咎なきを得る。しかもそれは単に無難に収まるというだけではなく、象伝が「喜び有る」と断じるように、後に確かな喜びとして報われるところに眼目があります。

ただし、その道は楽ではありません。爻変は謙となり、謙は事の中心に立って辛労を担う象ですから、骨折りが多いと覚悟すべきです。主人に重用される、会社で重要な任を負う、地域の名誉職に推され公務に尽くす――そうした立場に就き、責任と労は増すが、自他ともに喜ぶ結果へ結びやすい。報酬は薄くとも、人の信任を得て「升り仕える」実があり、そこにこの爻の吉があります。

また、この爻が戒めるのは「利」に偏ることです。願いごとは或る程度成就しますが、目標を物質面に置くと筋を誤りやすい。地位や名誉といった形で上がる面は見込めるので、そこに満足して進む方がよい一方、利益・財物に関わる事柄は思い止まるのが安全です。利を求めれば、かえって誤ちを起こしやすい――これが二爻の現実的な注意点です。

◆ 含まれる教え

この爻が教える要点は次の通りです。

•外形よりも孚(誠)が決め手になる

•信任を得て任を負い、後に喜びを見る

•ただし、先に立つのは骨折りで、報酬は薄いことが多い

•利に走ると誤りやすいので、名誉・役目・筋の通る成果を重んじる

•すでに得た基礎を固め、深追いしない

◆ 仕事

仕事では、責任ある役目を任されやすい時です。忙しさや気苦労は増えますが、信任を得て中心に立ち、結果として評価がまとまりやすい。

•目前の実利は薄くても、発展へ向かう

•誠実に当たり、継続して固めるほど吉

•交渉や調整は、すでに一定の成果があるなら深追いせず、得たところを基礎に固める

•利益を最優先にすると筋を誤りやすいので、信用・地位・責任の完遂を第一にする

◆ 恋愛

縁談は良縁と見ます。ただし、華やかな条件の“過度な理想”を掲げると、せっかくの縁を遠ざけやすい。

•多少の不足があっても、この辺りで折り合ってまとめるのが吉

•財産や容貌、家格などの条件を厳しくすると、縁が延び、遠のく

•人物本位で見れば、しっかりした相手を得やすい

誠実さが縁を育て、後から喜びへつながる爻です。

◆ 地風升(2爻)が教えてくれる生き方

九二が伝える人生の姿勢はこうです。

「誠で仕え、労を引き受け、後の喜びを取れ。」

•目立つ飾りより、目には見えない誠を尽くす

•役目を担い、骨折りを厭わない

•利を追いすぎず、筋と信用を守る

•すでに得たものを固め、基礎から上へ伸ばす

禴のように質素でも、孚があれば道は通ります。派手な報酬よりも、信任と喜びを得る上昇――それが地風升・二爻の徳です。

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