250、風雷益(ふうらいえき)4爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

250、風雷益(ふうらいえき)4爻

◇ 益とは何か?

風雷益(ふうらいえき)は、「上を減らして下を増す」「不足を救い、全体を活かす」という働きを示す卦です。

上卦は巽(風)、下卦は震(雷)で、風が入り(巽=入る)、雷が動く(震=動く)ことで、停滞を破って巡りを増やす象を持ちます。

益は、ただ得をする卦ではありません。

要点は、

  • どこを動かし、何を移し替えるか
  • 誰のために益を行い、秩序を保つか
  • 益を急ぎ過ぎて、軽率に“形”だけを変えないこと
    にあります。

◆ 卦全体が教えてくれること

益の卦は、閉塞(否)の状態を打開し、困っている側へ力を回していく局面を示します。

その中心には「上を損して下を益する」という筋があり、益の進行は段階をもって現れます。

四爻は、その中でも五爻の信任を受けて 「実際に動かして益を作る当事者」 となる位置です。

ただし、益は独断で進めるほど良くなるものではなく、筋を通し、しかるべき手続きを踏んで動くことで初めて“益の志”が正しく通ります。

◆ 四爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「中行(ちゅうこう)・公(こう)に告げて従わる。依りて国を遷(うつ)すことをなすに用うるに利ろし。」

【象伝】

「公(こう)に告げて従わるるは、以て志を益するなり。」

● 解釈

四爻は、上を動かして下へ益を施す実務の担い手にあたり、閉塞した状況を打開するために「移し替え」を行う象を取ります。ここでいう「国を遷す(うつ)す」とは、単なる引っ越しのような小事ではなく、仕組みや拠点、枠組みそのものを移して民を益するほどの大きな転換を指します。

しかし、それほど重大な変化は、この爻ひとりの判断で行うものではありません。だからこそ「公に告げて従わる」とあり、上に告げ、聴き入れられ、従う(承認される)ことが条件になります。これは、形式のためではなく、象伝が言うように “志を益する”=益の目的そのものを正しく通すためです。

また「中行(ちゅうこう)」は、道に適い、時に応じ、偏らずに進めることを意味します。動かすべき時に動き、動かし過ぎない――その中庸の運びによって、益は私的な思いつきではなく、公益として成立します。

そして「依りて(よりて)」とは、上の信任・恩徳・権威を依拠(よりどころ)として初めて実行できる、という含みです。自分の力だけで押し切るのではなく、正統な支えを得て行うから「利ろし」となるわけです。

◆ 含まれる教え

  • 大きな変化ほど、独断ではなく筋を通して動かすこと
  • 「益」は、思いつきの改革ではなく、困窮を救う目的に即して行うこと
  • 時と道を外さず、中行(ちゅうこう)=中庸の運びを保つこと
  • 上の信任を依りどころにして進めるとき、益は安定して通る

◆ 仕事

仕事では、方針転換・配置替え・拠点移動・契約の組み替えのような「移す」動きが起こりやすい時です。

ただし、当事者の力だけで決め切れるというより、上の意向・承認・任命によって動かされる面もあり、見通しが立ちにくく苦慮することもあります。

一方で、この爻の要は「他を益するために動く」です。

短期の利益よりも、将来の発展のために投資・整備を行う、あるいは誰かのために計らう(場を貸す・資源を回す等)ことで、結果として筋が通りやすくなります。

新規の派手な拡張より、基礎を固めるための変更が吉です。

◆ 恋愛

縁談は、基本的に「まとまる」方向が見えますが、途中で条件や形が変わるなど、“模様替え”が入りやすい象があります。

また、本人の意思だけで進めるより、周囲(目上・仲介)に告げて整えるほど安定します。

結婚後の生活設計や役割分担など、最初の取り決めを丁寧にするほど良いでしょう。

◆ 風雷益(四爻)が教えてくれる生き方

四爻が教えるのは、**「変えるべきものを、筋を通して変える」**という生き方です。

大きな転換は、勢いだけでは続きません。

中行(ちゅうこう)を守り、公に告げて従われ、正統な支えに依って動く――その順序を踏むことで、変化は“益”として人を救い、全体を活かす力になります。

「志を益する」ために、正しく動く。

これが、風雷益・四爻の歩み方です。

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