240、雷水解(らいすいかい)上爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

240、雷水解(らいすいかい)上爻

◇ 解とは何か?

雷水解(らいすいかい)は、「ほどける」「緊張が解ける」「難みが解消へ向かう」ことを象徴する卦です。

上卦は震(雷)、下卦は坎(水)であり、険(坎)の上に動(震)が来るため、停滞していたものが動き出し、結び目がほどけていく象を持ちます。

解は、ただ楽になる卦ではありません。

難みの原因を見極め、不要なものを取り除き、秩序を回復することで「解ける」――その過程を教える卦です。

◆ 卦全体が教えてくれること

解の卦が示すのは、

  • 苦境からの離脱
  • 妨害因子の除去
  • もつれの整理
    です。

ただし、解け始めの時ほど「古い縁」「甘言」「付け入り」が残りやすく、ここを誤ると、解が完全に済まず、次の難(未済の芽)を残します。

ゆえに、解の成否は「原因の根を断ち切れるか」にかかっています。

上爻は、その解が極まり、最後の“悖れるもの(道に背くもの)”を射落として、ようやく全体を澄ませる局面です。

◆ 上爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「公(こう)もって隼(はやぶさ)を高墉(こうよう)の上(うえ)に射(い)る。これを獲(え)て利(よ)ろしからざるなし。」

【象伝】

「公(こう)もって隼(はやぶさ)を射(い)るは、もって悖(もと)れるを解(と)くなり。」

● 解釈

上爻は、解が「ほとんど済んだ」最終段階にあります。

ここで射られる隼は、利を貪り、媚惑し、隙を窺って内を乱す小人の象です。九二では狐(隠れて奸智を働かす)として描かれましたが、上爻では隼――高い所から獲物を狙う肉食鳥として表されます。つまり、表に出て高位を占め、内部の隙を窺い、私利を貪る者です。

「高墉の上」というのは、すでに内側がだいぶ清掃されたゆえ、こんどは“高い場所”に残る不穏分子を見落とすな、という警告でもあります。

公がこれを射止めるとは、私情や遠慮で曖昧にせず、乱れの芽を断ち切って、正しき秩序へ復す決断を示します。

象伝がいう「悖れるを解く」とは、解の仕上げは“単なる和解”ではなく、“背くものの除去”によって完成する、ということです。

これを獲て「利しからざるなし」とは、原因を断てば、あとはすべてが通りやすくなるという帰結を述べています。

ただし、この爻は変じると未済へ向かう含みを持ちます。

解がほぼ成った勢いの中に、まだ取り残された芽――新しい難みの最初の因――が潜み得る。だから、足元だけでなく、天井を仰ぐような細心さが必要になります。

◆ 含まれる教え

この爻が教えるのは、解の最後に必要な「仕上げの厳しさ」です。

  • 乱れの原因は“見えにくい高所”に残る
  • 甘い同情で残すと、必ず次の難みになる
  • 最後は決断して断つことで、はじめて全体が解ける
  • 解けた時ほど、油断が新しい未済を呼ぶ

つまり、解の完成とは「整理し終えた後に、なお点検すること」によって守られます。

◆ 仕事

仕事では、競争相手の間牒や、機密を窺う者、内部の隙に付け入る人物が象に当たりやすい時です。

表向きは順調に見えても、

  • 情報漏えい
  • 中傷
  • 水面下の工作
    が起こり得ます。

この爻を得たなら、妨げの根を除くために、必要なら強硬手段を取るのがよい。

契約・権限・アクセス・担当領域を明確にし、「曖昧にして残す」ことを避けるほど、全体が通達します。

◆ 恋愛

恋愛では、中傷や妨害、第三者の口出しが原因で進展が鈍る象が出ます。

表面は良縁でも、背後で関係を乱す者がいると、まとまりにくい。

この場合は、相手を責めるより先に、周囲の“悖れる因”を見抜き、距離を置くことが先決です。

ただし、妨害が除かれれば一気に解ける兆もあり、決着の早さが大切になります。

◆ 雷水解(上爻)が教えてくれる生き方

上爻が教える生き方は、解の終わりにおける「最後の一点を甘くしない」ことです。

「問題が解決したと思う時こそ、禍根の根が残っていないかを確認すること。」

  • もう大丈夫、で油断しない
  • 見えにくい所(高所)ほど点検する
  • 乱れの因を残さず、仕上げを徹底する
  • そのための決断を恐れない

そうしてこそ、解は本当に解となり、次の未済を生まず、利しからざるなきところへ至るのです。

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