周易64卦384爻占断
236、雷水解(らいすいかい)2爻
◇ 解とは何か?
雷水解(らいすいかい)は、「ほどける」「解き放つ」「難を解消する」ことを示す卦です。
上卦は震(雷)で動き・発動を表し、下卦は坎(水)で険難・不安・罠を表します。険の中に停滞していたものが、雷の勢いで動き出し、こわばりが緩み、結び目がほどけていく――それが「解」です。
ただし「解」は、力任せの突破ではなく、原因(小人・奸計・誤解・もつれ)を見極めて取り除くことで、自然に局面をほどかせる智慧を重んじます。
⸻
◆ 卦全体が教えてくれること
解の卦は、
•こじれたものをほどく時が来ている
•しかし、険(坎)が残っている限り油断は禁物
•解決は「外へ押し出す」より「内から解く」手順が要る
という状況を示します。
とくに二爻は、解の働きの中心にあって、中道(やり過ぎず、怠らず)を守りながら、難の原因である「奸佞」「潜む害」を的確に除く爻です。勢いだけで荒らさず、かといって甘くもせず、まっすぐに的を射抜く解決を教えます。
⸻
◆ 二爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「田(かり)に三狐(さんこ)を獲。黄矢(こうし)を得。貞吉。」
【象伝】
「九二(きゅうじ)の貞吉は中道(ちゅうどう)を得(え)るなり。」
⸻
● 解釈
ここでいう「田」は田猟(狩り)であり、動いて獲物を仕留める象です。雷の発動だけでなく、内卦坎の「穴・隠伏・奸智」があるため、ただ進むだけではなく、潜む害をあぶり出して取り除く必要がある場面として描かれます。
「狐」は、坎が象徴する奸智・陰険・隠れて害するものに当てられ、解くべき難の原因=小人の象となります。「三狐」とは、害が一つではなく、複数が絡んでいること、また一見小さく見える問題が重なって厄介になっていることを示します。
そして「黄矢」は、黄が坤の正色として中・正を表し、矢は一陽の直(まっすぐ)を表します。つまり、奸邪を除く働きが、峻烈に過ぎて善良まで傷つけることもなく、緩慢で侮られることもなく、ちょうど真直ぐに中心を射抜くように、道理に適った仕方で行われる――それが「貞吉」です。
象伝が「中道を得る」と言うのは、解決の手段が偏らず、過不足なく、最も効くところに当たるからです。
⸻
◆ 含まれる教え
この爻の教えは明確です。
•難の原因(奸計・不逞分子・甘言)を見抜き、先に除くこと
•厳しすぎず、緩みすぎず、「まっすぐ」を守ること
•好機を待つだけでなく、正しい手順で機会を作ること
•甘い誘いに乗らず、正しい筋で貫くこと
解は「ほどける」卦ですが、二爻は特に、ほどくための“下準備(原因除去)”を厳格に行う段階を示します。
⸻
◆ 仕事
仕事では、表の案件そのものよりも、内側に潜む障害――
•不誠実な協力者
•ルールを抜けようとする者
•情報を握って揺さぶる者
•進捗を止める内部の摩擦
が「三狐」として現れやすい時です。
この爻が勧めるのは、まず内部の整理です。体制を整え、火種を潰し、筋の悪い話を切る。そのうえで、積極的に動けば成果が上がる。
ただし、強権で恐れさせるやり方も、曖昧に流すやり方も不可で、公平・中正・理にかなう処置が最も吉を呼びます。
⸻
◆ 恋愛
恋愛では、表面の関係よりも、裏にある不安要素――
•口のうまい誘惑
•不誠実な関わり
•周囲からの余計な介入
•曖昧な関係が生む疑い
が問題になりやすい象です。
ここは情に流されず、「黄矢」のようにまっすぐに要点を射ること。相手の言葉より行いを見て、関係を乱す要因を切り分けるほど、むしろ状況がほどけていきます。
縁そのものは概ね吉ですが、妨げが入りやすいので、落ち着いて筋を通して進める努力が必要です。
⸻
◆ 雷水解(二爻)が教えてくれる生き方
二爻が伝えるのは、こういう姿勢です。
「解くとは、甘くすることではない。中正のまま、害を除けば、道は自然に開ける。」
•まず原因を除き、次に進む
•過剰にも怠慢にも偏らず、中心を射抜く
•甘言を退け、正しい筋で機会を作る
•骨を折った分だけ、結果がついてくる
ほどく力は、騒がしさではなく、まっすぐな判断と、ちょうどよい手際から生まれる――九二はそれを教えています。

コメント