周易64卦384爻占断
222、風火家人(ふうかかじん)上爻
◇ 家人とは何か?
風火家人(ふうかかじん)は「家庭という小さな共同体の秩序・節度・成就」を示す卦です。
上卦・巽(風)は教化と従順、下卦・離(火)は明徳と礼を象徴し、
火の明るさを風が家中に行き渡らせることで、家の繁栄と安定が完成に向かいます。
上爻は家人卦の完成段階を表し、
家の秩序が整い、その全体を統べる立場の象です。
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◆ 卦全体が教えてくれること
家人の卦は、
- 家内の秩序
- 役割の正しさ
- 礼節の維持
- 誠と慎み
これらによって家が調い、最後に成就へ至る過程を描きます。
上爻は「家政の完成・統率・威信」の位置にあり、
家の総まとめとして品位ある威厳が求められる場所です。
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◆ 上爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「孚(まこと)あり、威如(いじょ)たり。終(つい)に吉。」
【象伝】
「威如(いじょ)の吉は、身に反(かえ)るの謂(いい)なり。」
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● 解釈
上爻は家人卦の最終段階にあり、家が一応まとまりを得た状態を示します。
変じて水火既済となることからも、「完成」「整う」象が強い場所です。
しかし家人という卦は「貞正を尊ぶ」卦ですが、
この上爻だけは 陽爻が陰位に居て位に当たらない(不正位)状態です。
それにもかかわらず吉を得るのは、
その陽が「強引な我儘」ではなく「誠のある厳しさ」として働くからです。
爻辞の「孚あり」とは、
家を良くしようとする真心があり、
「威如」は、
その誠から生じる威厳が人を畏れ慎ませることを言います。
つまり上爻は、
「誠意ある厳しさで家を正す後見役」
という立場です。
象伝の「身に反る」とは、
自らの経験をふり返り、
過去の知恵を活かすことによって吉に達することを示します。
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◆ 含まれる教え
上爻の教えは次の通りです。
- 誠のある厳しさは秩序を生む
- 経験を基にした判断が家を整える
- 批判ではなく「守るための威厳」でなければならない
- 過去を振り返る姿勢が吉を招く
- 完成段階ゆえに「仕上げの慎重さ」が必要
家人卦の終わりを飾る位置にふさわしく、
「誠の働きが統率力として現れ、家を完成へ導く」
という重要な含みがあります。
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◆ 仕事
仕事では、
- 経験に基づく判断
- 多少の強硬姿勢
- 即戦即決
- 仕上げに力を入れる
ことが成功をもたらします。
今まさに進んでいる事は 有終の美 を収めます。
ただし、
新規の事を始めるにはやや時期遅れ
という象も含まれるため、
新しい始動より「まとめ・完成」に力を向けるべきです。
取引・交渉では、
多少は毅然とした態度で臨むと良く、
長引かせるより早めにまとめた方が吉。
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◆ 恋愛
恋愛・婚姻では吉。
- まとまりやすい
- 目上や年長者の紹介が良縁を招く
- 成立すれば長く安定しやすい
ただし、
手間取ると話が立ち消える傾向 があるため、
タイミングが重要です。
迅速・明瞭な意思表示が成功の鍵となります。
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◆ 風火家人(上爻)が教えてくれる生き方
上爻が伝える人生メッセージは、
「誠ある威厳は秩序を整え、最後の仕上げを導く。」
です。
- 経験から学ぶ
- 誠意ある厳しさを大切にする
- 決断すべき時には迷わず決める
- 新しいことより、今ある事を完成へ導く
- 威張るのではなく「信じさせる力」を使う
家人卦の最終段階に立つ者として、
“成熟した統率” を学ぶことが、この爻の本質です。


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