周易64卦384爻占断
209、火地晋(かちしん)5爻
◇ 晋とは何か?
火地晋(かちしん)は、
大地(坤)から太陽(離)がのぼり、
ものごとが静かに前へ進む「日の出の卦」です。
しかしその歩みは順風満帆とは限らず、
- 途中で止められる
- 邪魔が入る
- 力がまだ整わない
- 心が揺れる
といった影も伴います。
晋の本質は
「慎みを忘れず、正しく進む者が吉を得る」
という、静かな前進の教えです。
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◆ 卦全体が教えてくれること
火地晋は、
- 進むべき時は確かに到来している
- しかし、心の揺れ・他者の妨碍・自分の弱さが影を落とす
- 慎重さと誠実さが最終的な吉を決める
- 「どう進むか」を問われる卦
という特徴を持ちます。
5爻は陰爻で君位にあるため、
もともと 進む力が弱い位置 ですが、
この爻にのみ「往きて吉」「利ろしからざるなし」と
最も明るい前進が許されているのが特徴です。
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◆ 5爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「悔亡ぶ。失得(しっとく)恤(うれ)うる勿(なか)れ。往(ゆ)きて吉。利(よ)ろしからざるなし。」
【象伝】
「失得(しっとく)恤(うれ)うる勿(なか)れ。往(ゆ)きて慶(よろこび)あるなり。」
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● 解釈
5爻は陰柔であり、
本来は優柔さが出やすく進みに迷いが生じる位置です。
しかも、
- 応ずる2爻とは同じ陰で相応せず
- 手前の4爻は貪欲で妨害してくる(鼫鼠)
という条件が揃い、
確かに「悔いを生じるはずの場所」です。
それでもこの爻だけが
悔いが消え、進めば吉を得る
と断じられるのは、
- 王母(陰の君)からの厚恩
- 衆が誠を認める(衆允)
- 同徳の者と通じる
という“上位からの支援”が働き、
悔が自然に消えていくからです。
象伝が
「失得恤うる勿れ」と告げるのは、
得ても失っても気にするな
迷わず進め──そこに喜びが生まれる
という意味です。
陰の優柔を改めて「進む意志」を固めると、
爻変によって外卦は乾となり、
卦全体は 泰へ進む道 が開けます。
これゆえ 5爻は晋の中で
最も進むにふさわしい位置 となります。
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◆ 含まれる教え
この爻が伝える教えは明確です。
- 迷いや恐れを捨てて、まず一歩を踏み出せ
- 外の妨害は気にせず、自力で突破せよ
- 成否は問わず、進むことそのものが吉を呼ぶ
- 心配や不安を抱えながらでも、押し切るべき時がある
- 努力を怠れば地位も運も失われる
ここは“天下分け目の関ヶ原”とも言える分水嶺であり、
躊躇や弱気は凶に転じ、
進む勇気が吉を引き寄せます。
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◆ 仕事
仕事では、
- 手強い競争相手
- 邪魔をする人
- 自分の力不足
- プレッシャー
などが重なり、心労の多い時です。
しかしここでは
強く・積極的に・押して進め
という明確な吉意があります。
- 大きな商談も腰が引ければ敗れる
- 思い切って打って出れば勝機が生まれる
- ためらいが最大の凶
爻変すれば否の影が見えるため、
進退に迷う場面も出ますが、
それでも進んだ方が吉に至ります。
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◆ 恋愛
恋愛では、
- 相手が自分には分不相応に思える
- 条件の差に尻込みしがち
- 周囲の反対や妨害が入ることもある
というためらいの多い時期です。
しかし、この爻が示すのは、
強気に出れば、まとまる。
という明るい吉意です。
初婚の場合は特に不吉ではなく、
進んで良い縁と判断されます。
ただし、
爻変して否を得る時は夫婦不和の兆しが混ざるため、
慎重な成長が必要です。
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◆ 火地晋(5爻)が教えてくれる生き方
5爻の人生メッセージは力強いものです。
「迷うな。恐れるな。進めば道は開く。」
- 力以上だからといって退く必要はない
- 邪魔を怖れるより、一歩を踏み出せ
- 成否にとらわれず、まず行動せよ
- 真剣に進む者には支援が現れる
- 進むことで悔いが消え、心の喜びが得られる
火地晋の5爻は、
“勇気ある前進こそ、最大の吉を生む”
という、
前向きな力を与えてくれる爻です。

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