周易64卦384爻占断
201、雷天大壮(らいてんたいそう)3爻
◇ 大壮とは何か?
雷天大壮は、
勢いが強く極まった時 を象徴する卦です。
下に乾(天)の強さ、
上に震(雷)の動きがあり、
陽気が盛んに伸び上がる状態です。
しかしこの勢いは、
“制御されない強さ” であり、
暴進・過剛の危険 を常に孕みます。
大壮は
「強すぎるゆえに慎むべし」
という教えが中心にあります。
◆ 卦全体が教えてくれること
大壮は勢いが最高潮となる時です。
その勢いは魅力的ですが、
同時に破綻を招きやすく、
“慎重さこそ吉” とされます。
- 強さに浮かれない
- 勢いのまま動かない
- 中庸を守る
- 相手を押し倒さず、調和を尊ぶ
特に3爻は大壮の中心であり、
勢いの過剰による危険が
最も表れやすい場所です。
◆ 三爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「小人は壮を用い、君子は罔を用う。貞なるも厲し。羝羊藩に触れて其の角を羸む。」
【象伝】
「小人は壯を用い、君子は罔なり。」
● 解釈
3爻は陽爻が陽位におり、
乾の強さが最も激しく働く場所です。
そのため、
勢いが過剛となり暴進しやすい位置 にあります。
- 小人は勢いのままに突進し
- 君子は勢いを抑え、あたかも「壮の気を持たぬ者」のように慎み深くある
という対比が、
爻辞の中心です。
「罔(もう)を用う」とは、
強さを持ちながら“持たないかのように振る舞う”
すなわち “剛を抑制する智慧” のことです。
また「羝羊(牡羊)が藩に角をひっかけて苦しむ」像は、
前進も後退もできない窮地 を象徴し、
3爻の危険性を端的に示します。
◆ 含まれる教え
この爻は、
勢いの中核にいる時こそ
自制と抑制が最大の徳
であると教えています。
- 力に任せて突進すると破綻する
- 勢いに引かれて動くと傷を負う
- “できる力” をあえて使わない姿勢が吉
- 自分の力を大きく見誤らない
特に「貞なるも厲し」とあるように、
たとえ正しくあっても
“強すぎる行動” は危険となります。
◆ 仕事
仕事ではもっとも注意が必要な時期です。
- 自信過剰からの暴走
- 力の使い方を誤る
- 大きな計画を急ぐ
- 強行突破を図る
これらがいずれも凶につながります。
また、
この爻には「言語の失敗」も含まれるため、
- 大言壮語
- 約束を軽く口にする
- 嘘・誤解を生む発言
などで不利になる危険があります。
攻めは絶対に不可。守りに徹するべき時です。
◆ 恋愛
恋愛は不吉の象があります。
男女ともに、
勢いに任せて近づいたり、
自分を過信して突き進むことで
破綻が生じやすい状態です。
- 思い込みの強さ
- 相手に対する強引さ
- 感情の暴走
- 相手選びの誤り
これらが問題を引き起こし、
場合によっては
別離・破談・トラブルに発展します。
女性に対する占なら「剋される象」、
男性に対しては「御しがたい相手」となり、
いずれも良縁とは言えません。
◆ 雷天大壮(3爻)が教えてくれる生き方
この爻は
「力ある時ほど、慎みを忘れるな」
という深い教訓を示します。
- 力を抑える勇気
- 勢いを制する智慧
- 無理をしない決断
- 引くことで守られる未来
羝羊の喩えが示すように、
強すぎる勢いは
かえって自分を縛りつけます。
強さを誇らず、
多くを語らず、
慎重に、静かに、
自制をもって歩むこと——
それが大壮3爻の示す最善の道です。

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