176、離為火(りいか)2爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

176、離為火(りいか)2爻

◇ 離とは何か?

離為火(りいか)は「明知・文明・付着」の象であり、光をもって万物を照らす卦です。

火は独りでは燃えず、物に付着してその性を現します。

ゆえに離は「附く」という性質をもち、明らかにする働きの中に、

常に何かに依り添う謙虚さを含んでいます。

しかし、明は強くなりすぎれば燥(あせ)りを招き、

弱ければ暗さをもたらします。

離の卦が教えるのは、「明の中にも中正を守れ」という道。

光の徳を保ちながら、決して自らを過信せぬことが肝要なのです。

◆ 卦全体が教えてくれること

離は「光と明智」を象徴する一方で、不安定な明でもあります。

火は燃える対象を失えばすぐに消える。

したがって、明るさを維持するには常に内側に慎みが必要です。

真の明とは、外を照らすだけでなく、

自らをも照らして過ちを避ける光のこと。

離の卦は、明るく照らしながらも、

己を制御する理性と柔順さを求めています。

◆ 二爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「黄離、元吉。」

【象伝】

「黄離の元吉は、中道(ちゅうどう)を得ればなり。」

解釈:

この爻は離の卦の中位にあり、中庸と柔順を具えた最も安定した位置です。

「黄」は火の色であると同時に、中央・地の色でもあります。

その「黄」を離に結びつけているところから、

柔順にして中正――つまり、極端に走らない明徳の姿を表しているのです。

彖伝に「牝牛を畜えば吉」とあるように、

この爻には従順と落ち着き、そして中道の徳が備わっています。

「黄離、元吉」とは、光が正しく中を得て、

明が過ぎず、暗にも陥らぬ調和の極致を意味します。

これを自然の象に取れば、正午の太陽の光。

万物を余すところなく照らすが、まだ西に傾かず、

柔らかで穏やかな光を保つ時です。

象伝の「中道を得ればなり」とは、

この爻が火の勢いを制しつつ、

正しくその徳を活かす姿を道義的に称えたものです。

明を保ちながら偏らない――それが「元吉」の理由です。

◆ 含まれる教え

  • 光は中にありて柔らかく輝く。
  • 明の中にある慎みこそ、真の智慧。
  • 調和と節度が、すべてを円満へ導く。
  • 中庸を得た者は、時に適い、大いに吉を得る。

◆ 仕事

この爻を得た時は、運気の最盛期にあります。

これまで見通しが立たず、成果の見えなかったことも、

ようやく日の光を浴び、順調に動き出す時期です。

事業では、基礎が固まり、信用が得られる時。

発明・研究・新企画なども、日の目を見るでしょう。

ただし、離の火は燃え移りやすい性質を持つため、

成功に浮かれて慢心すると運が崩れます。

今は「時に中(あた)りて外れない」状態。

これを長く保つためには、早めに基礎を固め、

派手さよりも安定を重んじるべきです。

誠実な努力が必ず実を結び、後にさらに大きな吉を招きます。

◆ 恋愛

婚姻・恋愛ともに吉。

離の卦は「麗(つく)」の象であり、

この二爻は中庸の徳を得ているため、穏やかで温かな関係が築けます。

特に女性を迎える男性にとっては大吉。

相手は柔順で誠実、互いに補い合う関係となります。

また、今ある縁を大切にすれば、家庭運も良く安定します。

ただし、外見や勢いに惹かれて軽率に選ぶと、

本来の「黄離」の徳を失いかねません。

節度と誠実をもって愛を育むことが幸運を持続させます。

◆ 離為火(二爻)が教えてくれる生き方

この爻が教えるのは、「明の中にある中庸の徳」です。

真の光とは、燃え立つ炎ではなく、

穏やかに万物を照らす正午の太陽。

中道を得た明は、人を育て、物を成し、世を和らげます。

過不足なく、柔らかく、しかし確かな輝き――

それが「黄離、元吉」の心。

光を放ちながらも、決して我を張らず、

静かな温かさをもって生きる人に、

真の幸福と繁栄がもたらされるのです。

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