周易64卦384爻占断
140、地雷復(ちらいふく)2爻
◇ 復とは何か?
地雷復(ちらいふく)は「かえる」「もどる」を意味し、失われた正道に再び立ち返る時を象徴します。
地(坤)の中に雷(震)が潜み、やがて再び地表にその力を現す様は、衰えた陽気がよみがえる自然の理を示しています。
冬至を過ぎて春の気が少しずつ蘇るように、
暗黒の中から希望が芽吹く時期であり、善への回帰・再生の始まりを告げる卦です。
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◆ 卦全体が教えてくれること
復の卦が伝えているのは、「誤りに気づいたなら、ためらわずに正しい道に戻ること」です。
善に帰ることを恥じる必要はなく、むしろそれこそが人の本性にかなう行為です。
行動よりもまず心の回復を大切にし、過去を悔やむより未来へ希望をもって歩む時。
一陽来復とは、長く続いた不運や停滞の後に新しい光が差す兆しでもあります。
焦らず、地に足をつけ、穏やかに再出発をすることが最も重要です。
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◆ 二爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「休(よ)く復(かえ)る。吉。」
【象伝】
「休(よ)く復(かえ)るの吉(きち)は、以(もっ)て仁(じん)に下(くだ)るなり。」
解釈:
第二爻は、陰の位にありながらも中正で柔順の徳を持つ爻です。
位置的にも、道を誤って遠くへ離れたわけではなく、すぐに初爻(善に帰る心)に感応して立ち返ることができる位置にあります。
そのため爻辞に「休く(よく)復る。吉」とあり、安らかに・穏やかに善に帰ることができる吉運を示しています。
象伝の「仁に下る」とは、この二爻が初爻(仁徳のある善の心)に従うことを意味します。
つまり、自らの力を誇らず、謙虚に正しい者に従う姿勢こそが吉をもたらすということです。
この爻は、柔順でありながらも正しい道に導かれる素直さを表しています。
初爻が自覚的に「身を修める」段階であるなら、二爻はそれに続き、他者との協調を通じて善に復する段階です。
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◆ 含まれる教え
- 正しき人や良き導きに素直に従うことが、吉を生む。
- 穏やかに事を進め、急がず焦らず復帰することが肝要。
- 再出発の時は、慎重さと協調心をもって進むべきである。
- 仁に下る=謙虚さと感謝の心が、再生の土台を築く。
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◆ 仕事
この爻を得た時は、運勢が少しずつ上昇し始めている段階です。
今は再出発・再生の機であり、穏健な策を採用して進めば良い結果を得ます。
初爻の教えを受けて慎み深く進むことにより、運は確実に回復していきます。
変卦は「地沢臨」となり、さらに陽気が増す運勢です。
この流れを保てば、やがて「地天泰」となり、平和と安定の境地に至るでしょう。
事業では継続して進めて良く、堅実な発展が期待できます。
ただし、好調に乗じて過信すると、再び崩れる(元の黙阿弥になる)恐れもあります。
周囲の助けや意見を大切にし、協調を重んじることが成功の鍵です。
志望や昇進などは順調で、長く報われなかった努力がようやく実る時です。
これまで不遇だった人ほど、ようやく春の訪れのような喜びを感じられるでしょう。
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◆ 恋愛
恋愛・婚姻においては、流れが自然で穏やかに進む吉運です。
復・臨と順序を追って展開していくため、無理のない歩みで縁が結ばれる時です。
特に再会・再縁・復縁の暗示が強く、かつての関係が円満に修復される兆しがあります。
別居生活を解消して元に戻る場合や、再婚にも良い時期です。
ただし、卦の性質上「初爻と比になる」とあるように、
どちらかというと自分より立場の低い(または控えめな)相手との縁がまとまりやすく、
対等な関係を築くことが大切です。
一方で、好調に乗じて軽率な行動を取ると、雷(震)の動きが強すぎて破綻を招く恐れがあります。
誠実さと慎みを忘れずに進めば、家庭運・縁運ともに安定します。
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◆ 地雷復(二爻)が教えてくれる生き方
この爻が教えるのは、「人は一人では立ち直れない。善き導きと協調の中でこそ復する」という真理です。
初爻が「自ら気づいて正す」なら、二爻は「他者に導かれ、共に善に帰る」段階。
柔順中正の徳を保ち、仁に下ることで、安らかに再生への道が開かれます。
「休く復る」は、焦らず、心穏やかに歩を進める姿。
動乱や失意の後に訪れる小さな幸福を大切にし、地道に積み重ねていくことが、やがて大吉へとつながります。
人に倣い、人に学び、人と和して進む。
それが、地雷復(二爻)が教える「安らかにして吉なる復」の生き方なのです。

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