117、風地観(ふうちかん)3爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

117、風地観(ふうちかん)3爻

◇ 観とは何か?

風地観(ふうちかん)は「観る」「省みる」「模範を示す」ことを意味します。上にある風(巽)が大地を吹き渡り、人々がそれを仰ぎ見る姿を象徴します。観は「ただ眺める」ではなく、「正しく観察して自らを正す」ことを目的とし、導く立場の者は自らが観られる存在であることを意識する必要があります。

◆ 卦全体が教えてくれること

観の卦は「観察と自己省察」を教えます。人を導く前に、まず自分自身を省みて正すことが大切です。人々はその姿を観て学ぶため、指導者は自らの行動に責任を持つ必要があります。大局を見誤らず、道理を踏まえた進退を心がけることが求められます。

◆ 三爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「我が生を観て進退す。」

【象伝】

「我が生を観て進退するは、未だ道を失わざるなり。」

解釈

観の三爻は「自己を省みる」段階を示しています。内卦(坤)と外卦(巽)の境にあるため、進退を判断する立場にあり、その選択が重要になります。観の三爻は、自分の行いを内観し、進むべきか退くべきかを冷静に判断できます。そのため、過ちを犯さず「道を失わざる」姿勢を保てるのです。

ただし、この識見はあくまで「一身の処し方」にとどまり、他者を導く大きな力には至っていません。自分の行動が当を得ていれば進み、そうでなければ退く。この姿勢は誠実ですが、器局はまだ狭く、個人の範囲に留まります。

この爻を得た時には、内向的な傾向が強まり、こじんまりとした環境で自分の分を守ることに専念する時です。時に野望を抱いて分不相応な領域に踏み込むと、逆に害を受ける恐れがあります。小さな範囲で徐々に力を養い、焦らず歩みを進めるのが吉です。

◆ 含まれる教え

  • 自己省察を重ね、進退を誤らないこと。
  • 分相応を守り、分を超えた行動を避けること。
  • 大局を担うより、まず自分の基盤を固めることに専念する。

◆ 仕事

仕事面では、自分の力量をわきまえ、適切な進退を判断することが重要です。小さな範囲で着実に成果を積み重ねれば安定しますが、分を越えて大きな仕事に挑むと失敗を招きやすい時です。交渉や商取引でも、分相応の範囲で行えば順調ですが、欲を出して無理に拡大すると不利益を被る恐れがあります。慎重に状況を見極めることが吉です。

◆ 恋愛

恋愛では、自分の立場や力量を見極めることが求められます。身の丈以上の相手や状況に踏み込むと、思わぬ障害が生じます。無理に進めるより、自分の気持ちや行動を省みて、誠実に対応することが大切です。控えめで内向きな態度は一見消極的に見えるかもしれませんが、関係を安定させるためには必要な姿勢です。

◆ 風地観(三爻)が教えてくれる生き方

三爻は「我が生を観て進退す」と教えています。これは外に向かう前に、自分自身を深く省みて、進むべきか退くべきかを正しく判断せよ、という教えです。分を守り、焦らず一歩一歩進めば、やがて状況は整い芽が出てきます。逆に分を越えた行動や欲望に流されれば、道を失う恐れがあります。自己を律し、静かに成長を重ねる姿勢こそ、この爻が示す生き方です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました