113、地沢臨(ちたくりん)5爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

113、地沢臨(ちたくりん)5爻

◇ 臨とは何か?

地沢臨(ちたくりん)は、人が互いに感応し合い、勢いが盛んに広がる卦です。上から下に臨み導き、下から上に応じて従うことで秩序と和が生まれます。臨む姿勢が正しければ繁栄を招きますが、誤れば混乱や失敗を引き寄せるため、慎重さが大切です。

◆ 卦全体が教えてくれること

臨は「導く者と応じる者の調和」を教えています。勢いが強い時だからこそ、正しく人を導き、また従うことが重要です。臨の中心は「誠実な態度」と「中庸を守ること」であり、これを失えば好機は一転して混乱に陥ります。

◆ 五爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「知臨(ちりん)。大君の宜(ぎ)。吉。」

【象伝】

「大君の宜(ぎ)は、中を行うの謂(いい)なり。」

解釈

五爻は臨卦の定卦主であり、君主の位にあります。この爻は臨む時のあり方を最もよく理解し、正しく処することのできる位置です。二爻という有力な協力者を登用して、この時をよく治めるため「知臨」といいます。知って臨むこと、すなわち状況や人をよくわきまえて行動することが、大君にふさわしいあり方とされます。

象伝が「大君の宜は中を行うの謂なり」と説くのは、中庸を守り、人材を正しく登用し、偏りのない施政を行う姿勢を示しています。これにより「吉」となるのです。

また、この爻が変じると水沢節となります。節は竹の節のように、内部は空虚でも節があることで折れにくい構造を表し、物事を少しずつ積み重ねることで大成する姿を意味します。臨の勢いを得た時でも、無闇に拡張するのではなく、節度を持ち、秩序立てて積み重ねることを戒めています。

この爻を得た場合、吉運に恵まれますが、それは自ら独断専行するのではなく、適材を任用し、人を活かすことによって得られる吉です。

◆ 含まれる教え

  • 大きな責任を負う者こそ「中庸」を守り、人材を登用すべきである。
  • 臨の勢いを知り、適切に処することが「知臨」であり、吉を招く。
  • 成功は節度を保ち、一歩ずつ積み重ねていくことにより確かなものとなる。

◆ 仕事

仕事面では、大きな責任を担う立場にある人が「知って臨む」ことで成功を収める時です。自ら前線に立つよりも、適切な人材を登用して活かすことが鍵となります。部下や協力者を信頼し、彼らの力を引き出すことで、大事業も順調に進むでしょう。逆に、独断で突き進むと全体の調和を失い、失敗の原因となります。

◆ 恋愛

恋愛においては「知って臨む」姿勢が求められます。相手をよく理解し、思いやりをもって接することで円満な関係が築かれます。自分本位に進めるのではなく、相手の気持ちや立場を尊重することが吉です。特に結婚や長期的な関係を考える際には、中庸の態度が良縁を固めます。また、親や周囲の後押しが得られる時でもあります。

◆ 地沢臨(五爻)が教えてくれる生き方

五爻は「大君の宜」を体現しています。すなわち、中庸を守り、人材を用い、正しく臨む姿勢こそが大きな吉をもたらします。成功は自らの独断ではなく、人を活かすことで得られるものであると教えています。節度を持ち、秩序正しく積み重ねることで、大きな事業や人間関係を成就させることができるのです。

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