110、地沢臨(ちたくりん)2爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

110、地沢臨(ちたくりん)2爻

◇ 臨とは何か?

地沢臨(ちたくりん)は「臨む」の意で、人や事柄に向き合い、導き・育成・感応してゆく姿を示します。上から下へと働きかける力が強く働く時であり、人の上に立つ者は下に近づき、下にある者は上に臨まれることで、互いの調和が取れれば大きな発展を得られます。臨は勢いが満ちる時でありながら、その勢いを正しく導く柔軟さが求められます。

◆ 卦全体が教えてくれること

臨の卦は「発展と感応の時」を表しています。人々は互いに感応し合い、協力し合うことで成果を上げられるでしょう。指導者は誠をもって臨み、民衆はそれに応じて力を尽くす時です。正しい姿勢をもって臨めば、勢いは大いに伸びますが、傲慢や我欲に流れれば、かえって衰退に転じます。

◆ 二爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「咸臨。吉、利ろしからざるなし。」

【象伝】

「咸臨吉にして利ろしからざるなきは、未だ命に順わざるなり。」

解釈

二爻は中正を得ており、臨の卦の中でももっとも安定した位置にあります。ここでは、君主の求めに応じ、民衆の要望にも答えることができ、先達として泰平を導くことが可能です。そのため「咸臨」として相感応して臨み、吉であり、すべてに利があるとされています。

ただし、象伝に「未だ命に順わざるなり」とあるのは、彖伝の「八月に至りて凶あり」に通じています。つまり、衰える気運(命)はまだ未来にあり、今はまだ発展と繁栄の勢いにあるという意味です。したがって、現在は盛運のさなかで吉ではあるものの、この勢いはやがて陰りを見せる時が来るため、慎みをもって進むことが必要だと示しているのです。

この爻が変じると「地雷復」となります。復は「反る」を意味し、臨の旺盛な勢いからすれば力が削がれ、後退に向かう危険を示します。強硬に出すぎると一歩進んで二歩退くような結果となりかねません。

この爻を得た時は、運気が盛んで、人の引き立てや信望を得やすい時期です。目上からの援助、目下からの支持が自然に集まり、何事を行っても便宜が得られやすいでしょう。精神的にも肉体的にも充実しており、積極策を取れば功を奏する時ですが、身の程をわきまえず過剛に走れば、却って失敗の因となります。

◆ 含まれる教え

  • 勢いに乗っても、未来には必ず衰えの時が来ると心得る。
  • 人の支持を得られる今こそ謙虚さを忘れない。
  • 強硬策や独断は後退を招くため、慎重さを常に備える。

◆ 仕事

二爻は「引き立てと信望を得て進む仕事運」を表します。上司や先輩の支援を受け、部下や同僚からも信頼を寄せられる時です。新しい企画や提案は受け入れられやすく、積極的に取り組めば成果を挙げられるでしょう。ただし、勢いに任せて独走すると反発を招きます。協調性を保ちつつ進むことが成功の鍵です。

◆ 恋愛

人と人が自然に引き合い、好意が通じ合いやすい時期です。お互いの感応が働き、出会いが結ばれやすくなります。交際中の人は順調に進展しやすく、縁談や結婚の話も出てくる可能性があります。ただし、急ぎすぎたり欲を出したりすると誤解や不和を招くことがあります。誠実に、相手を尊重する姿勢を貫くことが良縁を保つ秘訣です。

◆ 地沢臨(二爻)が教えてくれる生き方

「盛運の時ほど謙虚さを忘れずに調和を重んじよ」と教えています。勢いのある時は人も集まり、力も増しますが、それが永遠に続くわけではありません。未来に衰えの時が訪れることを心にとどめ、今の盛運を正しく活かして周囲と和合して進むならば、大きな成果と安泰を得られるのです。

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