周易64卦384爻占断
107、山風蠱(さんぷうこ)5爻
◇ 蠱とは何か?
山風蠱(さんぷうこ)は「やぶれ」「腐敗」「乱れ」を意味し、それを繕い、治めることを課題とする卦です。過去の不具合や旧弊をそのまま放置すれば、さらに深刻化してゆきます。しかし誠実で柔らかな心構えをもって対処すれば、必ず再生への道を開くことができます。
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◆ 卦全体が教えてくれること
蠱は「過去から受け継いだ問題を改革していくこと」を主眼にしています。前任者や先人の誤りを受け継ぐことは避けられない場合がありますが、それをどう処理するかが自分の徳や未来を決めます。急進や強硬策ではなく、柔らかさをもって徐々に改善していくことが大切です。
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◆ 五爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「父の蠱を幹す。用て誉あり。」
【象伝】
「父を幹し、用て誉れあるは、承くるに徳をもってすればなり。」
解釈
五爻は蠱の主爻であり、柔中の徳を備えた「君主の位」にあります。ここでいう「父の蠱」とは、先人が残した乱れや不具合のことで、五爻はそれを正す役割を担います。他の爻が「蠱の困難さ」に苦しむのに対し、五爻は中正の徳をもって蠱を治め、ついに「誉(ほまれ)」を得ることができます。
また、この爻が変じると「巽為風」となり、二重の風が万物に触れて清新な気を施すように、淀んだ空気を一掃し流通させる象を表します。つまり、積年の澱みを吹き払い、健全で明朗な状態を取り戻すのです。このことから「幹蠱、用て誉あり」とあり、蠱を治めることが大きな名誉につながるとされます。
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◆ 含まれる教え
- 過去の不具合を受け継いでも、中正の徳をもって対処すれば名誉に変えられる。
- 蠱は放置すれば腐敗が進むが、誠実な心と徳によって必ず改革できる。
- 信頼できる後援者や部下を得て、大事業を成功させる好機である。
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◆ 仕事
積年の問題を一掃できる好機。社内の混乱や旧弊を改革し、名誉ある成果を得られる。信頼できる部下や後援者の存在が成功を後押しする。沈滞していた事業も促進され、新規の出発にふさわしい時。
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◆ 恋愛
長らく停滞していた関係が解消され、清々しい気持ちで新しい一歩を踏み出せる。家族や相手の周囲の混乱も収まり、祝福を得て結婚や新たな関係に進む可能性がある。良縁を得て誉れある形にまとまる時期。
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◆ 山風蠱(五爻)が教えてくれる生き方
「過去の乱れを引き受け、それを徳によって改革せよ」と教えています。困難を誠実に処理することで、むしろ名誉と信望を得られるのです。人との和を重んじ、正しい補佐を得ながら大事を進めれば、停滞していたものは動き出し、清新な未来が開かれてゆくでしょう。
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