周易64卦384爻占断
- 91、雷地予(らいちよ)初爻
◇ 雷地予とは何か?
雷地予(らいちよ)は、上卦が震(雷)、下卦が坤(地)で成り立つ卦です。「予」は楽しみ・安らぎの意を持ち、雷鳴が大地に響くように、人々の心を動かして楽しみを共有する象です。ただしその楽しみは本質を見誤ると一時的な快楽に流されやすく、長続きしない危険を含んでいます。
◆ 卦全体が教えてくれること
予の卦は「楽しみ」を主題にしています。しかし、真の楽しみとは節度と正しい方向性を持つものです。楽しみそのものに溺れれば、快楽は一時的でむしろ害をもたらします。逆に、志を持って楽しみを分かち合えば、人心をまとめ、大きな力を発揮することも可能です。つまり「予」は、楽をどう扱うかによって吉凶が分かれる卦なのです。
◆ 初爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「鳴豫。凶。」
【象伝】
「初六の鳴豫は、志窮まりて凶なり。」
解釈
初爻は卦の最下位にあり、まだ楽しみを得る基盤がありません。そのため自らの楽しみを持てず、外部の楽しみに耳を傾け、流される姿を表しています。ここでの「鳴」は鳴き叫ぶことであり、内実の伴わない表面的な楽しみを追いかける様子を示しています。
象伝は「志窮まりて凶」と断じています。つまり、自分の心が満たされていないために他者の楽しみに便乗しようとするが、それは持続せず、結局は失望や凶に至るという意味です。
◆ 含まれる教え
- 外に楽しみを求めても、それは長続きせず、むしろ空虚さを深める。
- 真の楽しみは、自分自身の中に志を持ち、それを基盤に育まれるものである。
- 外部に依存する楽しみは、やがて自らを傷つけることになる。
- 今は行動を起こすよりも、自分の心を養い、精神を充実させる時である。
◆ 仕事
期待していたことが当て外れになりやすい時です。新しい計画や取引を持ちかけられても、現実的な基盤が伴わないため失敗しやすいでしょう。他人の言葉や流行に便乗するのではなく、冷静に自分の実力を見極めて行動を控えることが必要です。
◆ 恋愛
相手に頼り過ぎたり、表面的な楽しさを追い求めたりすると不和や失望を招きます。この時期は恋の成就を急ぐのではなく、誠実に自分を磨き、相手との関係をじっくり育てることが大切です。軽い関係や遊びの恋は破綻しやすいでしょう。
◆ 雷地予(初爻)が教えてくれる生き方
この爻は「外に楽しみを求めるな」という戒めを示しています。自分の内に楽しみを育てる努力――学びや心の修養、堅実な生活の積み重ねがあってこそ、真の喜びを得られるのです。今は外部をあてにせず、忍耐しつつ自らの基盤を築く時と心得るべきでしょう。
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