周易64卦384爻占断
87、地山謙(ちざんけん)3爻
◇ 地山謙とは何か?
地山謙(ちざんけん)は、上卦が坤(地)、下卦が艮(山)で構成されます。山が大地に隠れる姿を象徴し、「謙遜」「慎み」を意味します。人は能力や地位が高まるほど、自然にへりくだる心を持つことで、多くの人から信頼を得て、物事が安定して進むと教えています。
⸻
◆ 卦全体が教えてくれること
謙の卦全体が伝えるのは、「謙は益す」という真理です。謙遜は単なる弱さではなく、人の和を保ち、援助や信任を引き寄せる力を持ちます。しかし、この謙を守り続けるのは容易ではありません。慢心を防ぎ、謙虚さを終始保つ姿勢こそが、成功や安泰を支える要となります。
⸻
◆ 三爻の爻辞と解釈
【爻辞】
勞謙。君子終有り。吉。
【象伝】
勞謙君子は、萬民服するなり。
解釈
三爻は卦中ただ一つの陽爻であり、成卦主の位置に立っています。ここでは自分ひとりが謙を守るだけでなく、他の陰爻を率いて謙の道を貫かなければならず、その責務は重く苦労も多いものとなります。これを「労謙」と表現しています。
「君子終有り」とは、たとえ労苦があっても、最後まで忍耐強く謙を貫けば、良い結末を迎えられることを示しています。象伝に「萬民服するなり」とあるように、この爻が謙を率先して実行する姿は、多くの人々を感化し、自然と従わせる力を持ちます。
⸻
◆ 含まれる教え
• 謙は一時的な姿勢ではなく、終始徹底して守ることで人心を得られる。
• 苦労や責務を担うことを厭わず、謙虚さを保つ者が真に人望を集める。
• 途中で諦めれば信を失い、努力が水泡に帰する。
⸻
◆ 仕事
責任の重い役割を担い、労苦が伴う時です。しかしそれは組織や人々にとって不可欠なもので、あなた自身にとっても大きな成長の機会です。途中で投げ出さず、地道に忍耐して務めを果たすならば、大きな信頼と成果を得られるでしょう。新規事業よりも既存の仕事を堅実に続けることが吉です。
⸻
◆ 恋愛
恋愛においても試練や困難が伴いやすい時です。関係を築くには忍耐と努力が必要で、短期間では実を結びにくいでしょう。しかし誠実に向き合い、謙虚に歩みを進めれば、やがて信頼と安定した関係が築かれます。軽率な行動や気まぐれな転向は、相手を傷つけ、関係を失う原因になります。
⸻
◆ 地山謙(三爻)が教えてくれる生き方
三爻の「労謙」は、責務を担う苦労の中でこそ真の謙虚さが試されることを示しています。途中で投げ出さずに最後まで忍耐し、誠実に努めること――その道のりは険しくとも、人々の信頼と安泰を得る礎となります。謙は人を従わせる力を持ち、その姿勢を終始保つことで人生は大きく開けるのです。
コメント