周易64卦384爻占断
81、火天大有(かてんたいゆう)3爻
◇ 火天大有とは何か?
火天大有(かてんたいゆう)は、上卦が離(火)、下卦が乾(天)で成る卦です。乾の剛健な力が大地を支え、その上で離の明が輝く様子を示します。これは、精神・物質の両面において大いなる豊かさを得る象であり、繁栄と充実の極みにあることを示します。ただし、その富や力をどう用いるかが試される卦でもあります。
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◆ 卦全体が教えてくれること
大有は、ただ富を得て満ち足りるだけではなく、それを正しく使い、公益に還元してこそ意味を持つと教えます。もし私欲や慢心に流されれば、その富は人を傷つけ、やがて自らを滅ぼす刃となる危険を含んでいます。つまり「富を持つこと」よりも「富をどう活かすか」が大切であると説いています。
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◆ 三爻の爻辞と解釈
【爻辞】
公(こう)・用(もち)いて天子(てんし)に亨(きょう)す。小人(しょうじん)は克(あた)わず。
【象伝】
公・用いて天子に亨す。小人は害なり。
解釈
三爻は内卦乾の上位にあたり、諸侯の地位に相当します。ここでは「公」として、自分の富を独占せず、天子=君に捧げる姿が描かれています。陽剛が正位にあり、富裕でありながらも正道を守り、公益のために資源を差し出す姿は理想的な臣下の在り方です。
一方で、この位置に小人が座すと、富を公益のために捧げることを嫌い、欲望や利己心に使ってしまいます。その結果、自らをも他をも害してしまうのです。象伝に「小人は害なり」とあるのはこのためであり、正しく行えば国家や社会に益し、誤れば害となる両刃の剣のような位置であることを示しています。
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◆ 含まれる教え
• 豊かさは自分のためだけでなく、上に捧げ、周囲に分け与えるべき。
• 小人がこの位に立つと、富は私欲に使われて人を害する。
• 富や権力は、公益に用いることで真の価値を発揮する。
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◆ 仕事
この爻を得た時は、大きな富や力を得ており、それを社会や組織のために活用すれば、大いなる成果を挙げることができます。公共事業や大規模なビジネスに取り組むのに良い時期ですが、内部の統制を怠ると人の妬みや対立を招きやすくなります。人材の登用や管理を誤らないことが成功の鍵となります。
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◆ 恋愛
恋愛においては、豊かさを共有できる相手との縁を得られる時です。ただし、自分本位にならず、相手のために力を使う姿勢が求められます。もし利己心に流されれば、恨みや不信を招き、関係が破れる危険もあります。相手に尽くすことでこそ、真の幸福を得られるでしょう。
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◆ 火天大有(三爻)が教えてくれる生き方
大いなる富や力を得ても、それを「天子に亨す」、すなわち公益や高い目的のために差し出す姿勢を忘れてはなりません。小人のように私欲に使えば必ず禍を招きます。富は共有してこそ真価を発揮するというのが、この爻の大きな教えです。
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