80、火天大有(かてんたいゆう)2爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

80、火天大有(かてんたいゆう)2爻

◇ 火天大有とは何か?
火天大有(かてんたいゆう)は、上卦が離(火)、下卦が乾(天)で成る卦です。乾の三陽が大地をしっかりと支え、その上に離(火)が輝き、明るさと富の象を示します。「大いに有つ」とは、財産や地位、名誉などの豊かさを意味するだけでなく、精神的な徳や知恵をも大いに備えることを表しています。

◆ 卦全体が教えてくれること
この卦は繁栄と充実の時を表す一方で、その豊かさをどう活かすかが問われる卦です。富や力をただ享受するだけでは衰えを招きます。分け与え、社会や人々に還元してこそ「大有」の真価が発揮されるのです。つまり、盛大な富を持つときほど謙虚に、慎重に、そして公益のために活用せよという教えです。

◆ 二爻の爻辞と解釈

【爻辞】
大車(たいしゃ)以(もっ)て載(の)す。往(ゆ)く攸(ところ)有(あ)り。咎(とが)なし。

【象伝】
大車(たいしゃ)以(もっ)て載(の)するは、中に積(つ)みて敗(やぶ)れざるなり。

解釈
二爻は大有の卦の内卦乾の主爻であり、富を大車に積むほど豊かさを備えた位にあります。「大車以て載す」とは、その富や力が大きく、しっかりと積まれて安定していることを表しています。象伝に「中に積む」とあるのは、中正の徳を得ているので偏らず、過ちを犯さないという意味です。

ただし、この二爻は陽剛でありながら陰位にあるため、正しくない位置にあるという危うさを持ちます。しかし中を得ているために安定し、咎を免れるのです。そしてこの富は蓄えているだけではなく、行くべきところがある=用いる先があることで初めて真価を発揮します。その「往く攸あり」とは、正応の五爻の君位に向かい、天下や社会に役立つ形で発揮されることを示します。

◆ 含まれる教え
• 富や力は偏らず中心に据えることで安定を得る。
• 大きな力を持つときこそ、その行き先・用途を誤らないことが肝要。
• 富は持つこと自体に価値があるのではなく、社会や人々に還元されて初めて生きる。

◆ 仕事
この爻を得たときは、努力が認められ大きな仕事を任される時です。昇進や大規模な事業の成功など、社会的な評価を受けやすいでしょう。ただし、自己の利益だけに使うのではなく、公のためにどう役立てるかが問われます。文化的・学術的・社会貢献的な分野で力を尽くすと、さらに吉を得ます。

◆ 恋愛
恋愛においては、頼れる相手や支え合える関係が得られる時です。富や地位に恵まれた人物との縁があるかもしれません。ただし、物質的な魅力だけに惹かれるのではなく、誠実さや中庸を重んじることで安定した関係を築けます。

◆ 火天大有(二爻)が教えてくれる生き方
豊かさを得ても、それを自分だけのものとせず、正しい方向に使うことが大切です。「大車に積んだ富」は安定していますが、使い道を誤ればたちまち崩れます。社会や家族、周囲のために力を用いることで、自らも安全と幸福を得られるのです。持つ者の責任を自覚し、正しい場所にその力を注ぐことが、この爻の教えです。

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