76、天火同人(てんかどうじん)4爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

76、天火同人(てんかどうじん)4爻

◇ 天火同人とは何か?
天火同人(てんかどうじん)は、上卦が乾(天)、下卦が離(火)で成ります。火は上に昇ろうとし、天は無限に広がる性質を持ちます。ここでは上昇の性を持つものが力を合わせ、同じ方向へ共に進み親しむ姿を示しています。人と心を合わせ、大義に従って協調することが、社会や人生において発展と吉運を呼び込むことを教えます。

◆ 卦全体が教えてくれること
同人の卦は「人と共にする」ことの意義を示しています。ここでいう「同じ」は、単に群れることや身内びいきではなく、正しい同志と心を合わせて公正に事を行うことです。大義を忘れず、誠をもって人と交わるなら、困難をも越えて成功が得られます。

◆ 四爻の爻辞と解釈

【爻辞】
其(そ)の墉(かき)に乗(の)るも、攻(せ)むる克(あた)わず。吉(きち)。

【象伝】
其(そ)の墉(かき)に乗(の)るは、義(ぎ)・克(あた)わざるなり。其(そ)の吉(きち)は、則ち困(くる)しみて則(のり)に反(かえ)るなり。

解釈
四爻は三爻と同じく二爻を得ようと望みますが、二爻とは応爻でも比爻でもなく、関わりが薄いため望みは叶いません。そこで「其の墉に乗る」とは、五爻を討とうと高い城壁に登る姿を表します。しかし五爻の要害は強固で、とても攻め落とすことはできません。結局、分に過ぎた望みを放棄し、無理をやめて引き下がることになります。それが「攻むる克わず。吉。」です。ここでの吉は勝利の意味ではなく、「困しみて則に反る」―つまり、自分の立場をわきまえ、正しい道に戻ることで危険を免れる吉を指します。

◆ 含まれる教え
• 分に過ぎた欲望を追わないことが安全につながる
• 叶わぬ望みは早く諦め、立場を守ることが肝要
• 無理に進めば破滅を招くが、退くことで却って守られる

◆ 仕事
この時期の仕事は無理に推し進めても成果が出にくいときです。計画や事業は砂上の楼閣のように不安定で、途中で破綻しやすいでしょう。執着を捨て、方向転換する方が良い結果を生みます。また、人の力を借りることも難しいため、地味でも自分の手の届く範囲のことを着実に積み重ねることが大切です。

◆ 恋愛
恋愛では、失恋や望みが叶わない関係に直面することが多いでしょう。しかし、その苦しみをきっかけに自らを磨き、仕事や学びに打ち込むことで、後に幸いを得られる可能性があります。無理に追い求めるよりも、潔く諦めて新しい道に目を向ける方が、次の良縁を引き寄せます。

◆ 天火同人(四爻)が教えてくれる生き方
人生には、どうしても望みが叶わないことがあります。そのときに大切なのは、早く執着を断ち、正しい道に立ち返る勇気です。無理に進めば危険を招きますが、退いて静かに力を養えば、新たな道が自然に開けます。潔い判断と自重が、真の吉をもたらすのです。

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