54、風天小畜(ふうてんしょうちく)上爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

54、風天小畜(ふうてんしょうちく)上爻

◇ 風天小畜とは何か?

風天小畜(しょうちく)は、天(乾)の上に風(巽)が吹く卦です。乾の三つの陽剛が一気に進もうとするのを、ただ一つの陰爻が畜(とど)めています。大きな力を小さな制約が抑えているため「小畜」と名づけられています。止めきれない力を完全に封じるのではなく、時を待って養うべき局面です。この卦は「力があっても時を誤れば災いとなる。小さな制約を受け入れつつ、慎重に進め」という教えを伝えています。

◆ 上爻の爻辞と解釈

【爻辞】

既(すで)に雨(あめ)ふり既(すで)に処(とどま)る。德(とく)を尚(たっと)びて載す。婦(ふ)貞(ただし)けれども厲(あやう)し。月(つき)望(ぼう)に幾(ちか)し。君子(くんし)征(ゆ)けば凶(きょう)。

【象伝】

既(すで)に雨(あめ)ふり既(すで)に処(とどま)る。德(とく)積(つ)んで載(の)するなり。君子(くんし)征(ゆ)けば凶(きょう)とは、疑(うたが)う所(ところ)有(あ)るなり。

解釈

上爻は小畜の終点にあり、これまで畜えてきたものがようやく施される時を示します。「既に雨降り既に処る」とは、長らく止まっていた恵みの雨が降り、施しが行き渡った様子です。「徳を尚びて載す」とは、その施しが大きく、功績が車に載せるほどになったことを表します。しかし陰が極まれば陽に転じるように、勢いが強すぎれば主君をしのぐ危うさが出ます。これを「婦貞けれども厲し」と戒め、「月望に幾し」は陰が満ちて極点に近い状態を象徴します。勢いに任せて行動すれば必ず禍を招くため「君子征けば凶」と結ばれます。

◆ 含まれる教え

  • 積み重ねた努力はついに実を結ぶが、功が極まれば危うさを帯びる。
  • 下位の者や補佐役が大きな力を持つとき、正道を守らねば主従の秩序が乱れる。
  • 成功の絶頂にある時こそ、控えめに退き、次代に譲ることが賢明である。
  • 進むよりも守りに徹し、有終の美を意識することが大切。

◆ 仕事

この爻を得たとき、仕事では長く停滞していた案件が成就し、大きな成果を挙げる時期です。努力が報われ、評価や信頼が高まるでしょう。しかし、功績があまりに目立ちすぎると、上司や同僚との関係に不協和が生じる恐れがあります。ここで大切なのは「自分が成し遂げた」という誇りを強調せず、周囲や組織の支えによって実現したと謙虚に振る舞うことです。退き際を見極め、後進に任せる姿勢が長期的な安定をもたらします。

◆ 恋愛

恋愛においては、これまでの関係が実を結び、安定と充実を得られる時期です。互いの努力や支え合いが形となり、結婚や同棲といった具体的な成果に至る可能性もあります。ただし、相手への思いやりよりも自分の功績や貢献を強調すると関係に不和が生じやすい時です。「月望に幾し」が示すように、気持ちが高まりすぎれば衝突や不信につながる危険があります。ここは一歩退き、相手を尊重し、穏やかな愛情を大切にするのが吉です。

◆ 風天小畜(上爻)が教えてくれる生き方

この上爻は「成功の極みにおいて退く」ことの大切さを教えています。積み重ねた努力は報われますが、功が極まれば危険もまた極まります。謙虚に成果を分かち合い、後進に道を譲ることでこそ、真の有終の美が得られるのです。人生においても、力を出し尽くした後は、慎みと退き際の美学を大切にすることが、長期的な安泰と名誉をもたらします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました