周易64卦384爻占断
27、水天需(すいてんじゅ)3爻
◇ 需とは何か?
『需(まつ)』は、「時を待つことの重要さ」を教える卦です。
上卦「坎(水)」は困難と障害を、下卦「乾(天)」は前進の意志を表し、勢いよく進みたい心に対して、待つことが吉を生むと戒めます。
外に出れば危険、しかし何もせずにいるわけにもいかない――そうした葛藤の中で、「備えながら、慎重に待つ」姿勢が求められるのです。
◆ 三爻の爻辞と解釈
【爻辞】
泥(でい)に需(ま)つ。寇の至るを致す。
【象伝】
泥(でい)に需(ま)つとは、災い外に在るなり。我より寇を致す、敬愼すれば敗れざるなり。
この三爻は、下卦の最も上部、つまり「坎険」に直接接する位置にあります。
「泥(でい)」とは、ぬかるみのことで、進もうとすれば足元をすくわれて沈んでしまうような危うい状態を象徴しています。
「寇の至るを致す」とは、敵や災難を自ら招くこと――つまり、軽率に動けば、自分からわざわいを呼び込むという警告です。
しかし、慎んでじっとしていれば、災いは訪れません。
◆ 含まれる教え
この爻が示すのは、「危機が迫る時こそ、静観し、軽挙妄動を慎むべきだ」という教訓です。
特にこの爻では、外からではなく「自分の動きによって」災いを呼び込んでしまう点が強調されています。
物事が停滞しているとき、つい進みたくなるのが人の常ですが、その焦りが判断を狂わせ、さらに悪化を招くことがあるのです。
◆ 仕事
仕事面では「不用意な行動がトラブルを招く」ときです。
今は周囲の状況が不安定で、何か新しいことを始めたり、決断を急ぐと、それがかえって災難の火種になります。
特に、上司や同僚との対立や衝突が起きやすく、発言一つで信頼を損ねてしまう恐れも。
この時期は、無理に突破口を探すのではなく、現状維持と問題の整理に努めることが吉です。
また、親切そうに見えても、実際には自分を不利な立場に引き込む人物が近づいてくることもあります。人付き合いには細心の注意が必要です。
◆ 恋愛
恋愛面では、誤ったアプローチや感情の暴走によって関係がこじれやすい時期です。
相手への強すぎるアピール、思い込み、または感情的な言動が、相手の心を遠ざけてしまう可能性があります。
また、甘い言葉や魅力的な誘いには裏があることも。
一見親切な人物が実はあなたを振り回す存在である可能性もあるので、特に出会ったばかりの相手や急接近してくる相手には注意が必要です。
今はじっと心を整え、焦らずに相手との距離を図る時。
本物の信頼関係は、時間と静かなやりとりの中から生まれます。
◆ 水天需(三爻)が教えてくれる生き方
この三爻が教えるのは、「進みたい気持ちを抑え、足元を見つめ直すことの大切さ」です。
周囲の状況が不透明なとき、自分から動けば動くほど深みに嵌っていくこともあります。
「我より寇を致す」という言葉は、自ら災いを引き寄せてしまうことへの強い戒め。
だからこそ、今はあえて立ち止まり、外の声に振り回されず、心を定めて時を待つのが最も賢明なのです。
いずれ、泥が乾き、歩みやすい道が見えてくるときが必ず来ます。
それまでは、身を慎み、機を誤らぬよう心を澄ませて過ごすことが、後の吉を生む鍵となるのです。
コメント