周易64卦384爻占断
26、水天需(すいてんじゅ)2爻
◇ 需とは何か?
『需(まつ)』は、「待つことによって機を得る」卦です。
上卦「坎(水)」は困難や障害、下卦「乾(天)」は前に進もうとする勢いをあらわし、その組み合わせは、目の前に障壁があるときこそ、焦らず冷静に時を見極めて備えるべきだという教えを示します。
待つことは、忍耐ではなく積極的な選択。心を整え、周囲を読み、適切な時機に備える知恵が、この卦の核心です。
◆ 二爻の爻辞と解釈
【爻辞】
沙(しゃ)に需(ま)つ。小しく言(こと)有れど、終(つい)には吉。
【象伝】
沙に需つは、衍(ゆた)かにして中に在るなり。小しく言(こと)有りと雖(いえど)も、吉を以て終わるなり。
この爻における「沙(しゃ)」とは、水辺の砂地――すなわち坎の水辺に近づいた場所を意味します。
初爻より一歩前進した位置にあり、いよいよ困難の間近にあるが、まだ本格的な危機には入っていません。
この爻は陽爻が陰位にあり、かつ「中」を得ているため、正しい節度と柔軟性を兼ね備えた人物像を象徴しています。
ただし、「小しく言あり」とあるように、慎重に行動していても、周囲からの反発や些細なトラブルは避けられません。
しかし、それらは最終的には大事には至らず、「終には吉」となります。
◆ 含まれる教え
この爻が語るのは、「小さな波風に動じず、寛容さをもって待つ」ことの重要性です。
問題の兆しや人間関係の摩擦があったとしても、それに過剰に反応するのではなく、ゆったりと構え、時の流れに委ねることで最終的には吉に至る――それがこの爻の伝える道理です。
また「衍(えん)」という言葉が象徴するように、この時期は心も物資もある程度の余裕があるがゆえに、逆に不用意な交際や甘言に流されやすくなる危険もはらんでいます。
◆ 仕事
仕事面では、「今は計画を急がず、周囲と足並みをそろえると良い時」です。
自分では状況をよく見極め、冷静に進めているつもりでも、同僚や取引先との間に誤解や不信感が生じやすい時期でもあります。
ちょっとした言動や誤解が思わぬ「言(ごと)」=トラブルの火種となる可能性があります。
しかし、ここで焦って弁解したり押し通そうとすると逆効果。
心を広く持ち、やや一歩引いた姿勢で対応することで、むしろ信頼を勝ち得る展開となるでしょう。
◆ 恋愛
恋愛では「小さなすれ違い」が起こりやすい時期です。
相手の言葉が少し冷たく感じたり、予定が合わなかったりと、ちょっとした出来事で心が揺らぎがち。
しかし、ここで必要なのは、感情的に反応するのではなく「待つ」こと。
相手の事情や気持ちを思いやることで、やがてまた信頼や愛情が戻ってくるときがやってきます。
片思いの人も今は無理に距離を詰めるのではなく、相手との信頼関係を静かに育てるタイミングです。
自分の気持ちを急いで伝えようとすれば、誤解を招く恐れもあります。穏やかな言葉と態度が吉をもたらします。
◆ 水天需(二爻)が教えてくれる生き方
この二爻は、「どんなに備えていても、些細な波紋は避けられない」という現実と、それを受け止める寛容さの価値を教えています。
人との関係も、物事の進展も、すべては「ちょうど良い時」に向かって動いていくもの。
だからこそ、多少の不快や誤解に過剰反応せず、広い心でやり過ごすこと。
その姿勢が、あなた自身の品格と運を高めてくれるのです。
焦らず、騒がず、ただしっかりと自分を保ちながら時を待つ――この姿勢こそが、やがて「終には吉」となる鍵なのです。
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