24、山水蒙(さんすいもう)上爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

24、山水蒙(さんすいもう)上爻

◇ 蒙とは何か?

『蒙(もう)』は、人生の未熟さや無知の象徴であり、それをどう導き、どう学んでいくかという「学びの本質」を問う卦です。

水が山中にあって出口を求めさまようように、道を知らず手探りで進もうとする姿がここに描かれています。

それは誰しもが通る過程であり、そこにどう向き合うかがその人の未来を左右します。

◆ 上爻の爻辞と解釈

【爻辞】

蒙を撃つ。寇を為すに利ろしからず。寇を禦ぐに利ろし。

【象伝】

寇を禦ぐに利ろしきは、上下順むなり。

この上爻は蒙卦の最終段階を表します。

「蒙を撃つ」とは、すでに甘い導きでは通用せず、強い態度で矯正する必要がある状態を意味します。

この位置にある人物は、自身の未熟さに気づかず、あたかも自分が正しいと信じ込み、人に対して害をなす恐れがある存在です。

「寇(あだ)」とは敵のことで、他人に害を与えたり、また逆に他人から害を受けることの象徴でもあります。

この爻が教えてくれるのは、「相手に害をなすことは不利であり、むしろ守りの姿勢で危険を防ぐべきだ」という戒め。

象伝が「上下順(つつし)むなり」と言うのは、全体の関係性を調和のあるものに整えるよう、行動を慎むことを求めているからです。

◆ 含まれる教え

人は成長の途中で、教えを拒み、自らの力だけで事を進めようとすることがあります。

そのような姿勢は、かえって周囲との摩擦を生み、敵を作り、自らの足元を揺るがす結果となることも。

上爻は「導く者の立場」にありますが、その力の使い方を誤れば、教育は破壊になりかねません。

また、自身が傲慢になっていないか、自省を怠っていないか——その問いかけも含まれています。

◆ 仕事

この時期の仕事運は「控えめな姿勢と慎重な判断が求められるとき」です。

誤った判断や強引な押しつけによって、敵を作る可能性があります。

特にリーダー的な立場にある人ほど、他者の意見を尊重し、威圧的にならないよう注意が必要です。

また、「無理に状況を打開しようとすると失敗する」という暗示も含まれます。

現状がはっきりしないと感じたときこそ、焦って決断せず、一歩引いた視点で全体を見直すこと。

自分が「撃って」しまっていないか、誰かの成長を妨げていないか、確認する良い機会ともいえるでしょう。

◆ 恋愛

恋愛面では「感情にまかせて相手を責めたり、自分の思い通りにしようとすると、関係が悪化しやすい」ことを示します。

恋人やパートナーに対して強く出てしまい、相手が傷ついたり、距離を取られる可能性も。

このときは「理解しようとする姿勢」「沈黙を選ぶ勇気」が必要です。

思いをぶつけるより、少し距離を置いて見守る方が関係に良い流れをもたらすでしょう。

また、焦りから新しい出会いを求めようとしても、かえって傷つくことになりかねません。

愛情表現においても、相手にとっての心地よさを第一に考えることが肝心です。

◆ 山水蒙(上爻)が教えてくれる生き方

上爻は、教育や導きにおける「最後の試練」を象徴しています。

無知を責めてはならず、怒りで教えるのではなく、慈しみと節度をもって接することが、真の指導であるということ。

そして自分自身に対しても、「私はすでにわかっている」と思い込まない謙虚さが大切です。

成長を妨げるのは、実は他者ではなく、自分の心の中の慢心や焦りかもしれません。

上爻が示す「撃つべきは、他者ではなく己の過信」であることを、忘れずに歩んでいくことが求められます。

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